カメラ・光学器械工作 3


6x16cm パノラマカメラ 製作

 オッシロスコープ用ポラロイドカメラを譲って頂いた。 そのままでは利用する機会がないので分解して使えそうな部品を残した。

 レンズはTominon f:4.5 105mm 有名な富岡光学のレンズであった。 ポラロイドカメラでは、前にクローズアップレンズを追加してオッシロスコープ画面に写角を合わせていたようである。
 4x5カメラに取付けて試写したところかなり広いイメージサークルを持っている。 4x5 カメラで使うこともできるが、それでは面白くない。

 ひょっとして 6x18cmをカバーするのでは、と思いバラックでカメラを作りピントグラスを当てて観察。やはりそれは無理であった。 6x16cm で作ることとした。両端は綺麗に写るかは疑問であるが、自分の興味で作るのであるから構わない。

本体は シナ共芯合板、グリップやつまみはマホガニー材。金属部分は黄銅(真鍮)、レンズと○に"写"の判子以外は全て手作りである。

画像をクリックすると精細画像に飛びます。
戻るボタンで戻ってください。                         
Mai.2007


 正面から

 ファインダーは簡単に黄銅棒 2.5mmφ で製作、銀鑞付け。 中の円は視野中心を示す。2.0mmφ黄銅。これが無いとファインダー枠の強度が不足する。

ファインダーの大きさは計算で出した。実際に使ってみるとファインダーの視野は撮影範囲より狭い。
考えてみれば当たり前なのだ。視野計算には目当てからの距離を使ったが、瞳と目当ての間にはどうしても距離があるのだから視野は狭くなる。 広すぎるよりは良いので、一応そのままにしている。

 表面は黒と茶色の羊革を貼った。 縁は漉いているがどうも素人っぽくみえて感心しない。

 合焦装置は無い。パンフォーカス設定。


 斜めから

 レンズはケーブルレリース取付け穴しかない。 壊れた"く"の字型レリース繋ぎを改造してここに使っている。 "く"の字型てこは0.8mm厚黄銅製。 もう少し厚いものを使うべきであった。

レンズガードはレンズだけでなくシャッターメカニズムを保護する。 フィルム交換の時にはこのレンズガードがあるので作業がしやすくなる。

 グリップはマホガニーの挽き物。自分の手に合わせて挽いた。
 


 シャッターメカニズム付近

 シャッターの押しボタンは、前記の "く"の字型レリース繋ぎの頭の方を使っている。 長さが不足するので黄銅棒を削り出して追加している。中には1.5mmφ黄銅棒が通っており、ケーブルレリースを使うこともできる。 この1.5mmφ黄銅棒の下端の固定にはオルガンのメカニズムでよく使う 革ナット を使っている。


 背面

 フィルムの送りはいわゆる赤窓式 であるが、16cm送る記入はフィルム裏紙には無い。結局、二つの窓を開けることとした。
 最初の窓からフェルトペンを入れて裏紙に印を付け、その印が右窓に見えたらば一こま、ということである。 これなら、どのようなフォーマットでも対応可能である。

 撮影時にフェルトペン必携では不便なので、次のアイデアが浮かんだ。 フェルトペンの代わりにいわゆるシャチハタ(判子)を組み込んでしまえばよい。

 左の燐青銅板バネの左端にあるネジには判子がついている。 右はいわゆる赤窓。


 底

 左右のつまみは、フィルムスプール交換時に外せる。 構造は簡単、ネジが切ってあるだけである。

 中央のレンズ寄りは三脚取付け穴。
その上にあるのは 偏芯軸を回すつまみ。 偏芯軸で燐青銅の板を動かして裏蓋を固定する。


 裏蓋を開けたところ

 フィルム押さえはベークライト、押さえバネは燐青銅。 左に いわゆるシャチハタ判子が見えている。

 内部は古いマジックインク補充液を薄めて塗布している。

 フィルム室にはフィルムが緩むのを防ぐ燐青銅の板バネが付いている。


 押さえ板と判子

 簡単な作りである。 ベークライトの押さえ板は燐青銅の板バネで裏板と繋がっている。 ベークライトと板バネの接続は安易にも超強力両面粘着テープを使った。

 以前であれば両面テープで工作など、絶対にしないことであるが、最近は時間を掛けていると自分の時間が足りなくなるという思考の方が勝つことしばしばである。


 フィルムスプール固定ネジ

 先端はスプールの中心穴に入る太さ
根元はM6 ネジ、これも簡単な構造。

試写

近くの浦賀港で撮った。両端は遠景・近景にかかわらず、やはり結像が流れている。 レンズの設計イメージサークルをかなり超えているのであろう。 6x14、あるいは 6x12 で使うのが妥当なのであろう。
オルガンを撮る時に周辺の雰囲気を一緒に写しこみたいのであるが、あるいはこれでも意味があるかもしれない。 不要であればトリミングすればよい。

 お気づきだろうか? 笑えてしまうのだが、左上に判子の印影が転写されてしまっている。これは不覚であった。インクが乾く前にフィルムが巻き取られると裏紙と接したフィルム面にインクが残ってしまうのだ。 これは改良しなければならない。 裏紙の吸インク性が低いので乾燥までにはかなり時間を要するようである。

工房の中、金属工作機械がある窓辺をわざと撮ってみた。 どの程度近景で使えるかを試した。これは絞り開放。 絞った試写もしたのだが、不覚にも二重撮りしてしまった。
この画像から見ると、かなりの近景でも絞れば使えそうである。



カメラ・光学機器1へ カメラ・光学機器2 カメラ光学機器4

須藤オルガン工房Home工具のページTopへ

400x300 Pixcel als Norm.