工具のページ 10

オルガン製作ほど多様な道具を必要とする職業はないでしょう。
その多くは市販の工具です。 市販の工具が具合が良くない場合、あるいは手に入らない場合には、自作するか市販のものを改造することになります。 

『注文しに行っている時間にできるようなものは、自分で作る』  ことです。

ここでは、そのような工具あるいは機械類を「工具のページ1」 「工具のページ2」 「工具のページ3」 「工具のページ4」 「工具のページ5」 「工具のページ6」 「工具のページ7」 「工具のページ8」 「工具のページ9」に続いて、いくつか公開いたします。

パイプメタル鉋機 Hobelmachine für Orgelpfeifen Metall.

錫鉛合金を流して作ったパイプメタルの厚みを所定の厚みまで削る機械。

従来は手作業で鉋掛けを行っていたが非常に重労働であり、かつ時間が掛かる。

太鼓旋盤による方法は知られていたが、設備が大掛かりになり、小工房ではとても持てるものではなかった。

Rohlf工房 のWebSiteの例 や YoutubeにあるAhrend工房の例(1'18''から)の画像を頼りに製作開始、他には資料は無かった。

最後の段階でJohannes Rohlf氏には助言を頂いた。 どうやら実用になる段階になったので、 ここに製作の過程を公開する。

Besonder Dank, möchte ich an Herrn Johannes Rohlf zu seiner Beratung aussprechen.

図面

概略の配置、購入部品の決定をした。
工房にある材料と機械・工具で製作が可能であることも条件。

廃物利用(捨てられない症候群の賜物)も優先順位が高い。

構造部分は木製。


Planung.

Am Anfang wurde grob gezeichnet.

Mit laufe der Zeit, wurde immer wieder zu- od. um- gezeichnet.

Vベルトプーリー

メタルを引っ張って固定刃の下で引っ張って削るには相当な力を要する。

工房の木工旋盤で削れる最大の大きさ、径500mmほどのプーリー2個を製作。

スポークは鉄 既製品のセットリング2個を軸固定に使用。

対で使用する小さなプーリーも製作。


Keilriemenrad aus Holz. Das Mass ist die gröstedrehmögliche Mass der

unsere Holzdrechselbank. ca.500mm Durchmesser.

木工旋盤で ベルト2本の溝を作る。


Auf der Drechselmachine wurde zwei Keilriemenrille gemacht.

本体の枠構造

製作開始。 強度を要するところである。屈曲がおきなければ木材の繊維方向の圧縮強度は非常に大きい。


Zusammenbau des Hauptgestell.

Ungeheuer soll es Kräftig sein.

ローラー製作

今回の工作で最も精密を要する部品である。

内部は空洞、鉄パイプに軸を工作して両センター削り(正確な芯出しが可能)を行った。

偏芯があるとパイプメタルを削った結果に直接影響する。

どうやら3/100mm程度の誤差に収めることができた。

材料は全て工房にころがっていたものを使用。


Die Walze. Materiale sind alles aus Schrottkiste (auch Schatzkiste genannt).

引張り装置類仮組

本体の枠組みもほぼ形になり、駆動部分も仮組ができた。

実際には試験切削の段階で、この駆動装置では強度不足が判明し、

後にもう一段階減速装置を設けることとなる。

後の画像ではチェーン駆動が追加されている。


Probemontage. Später wurde noch Kettenantrieb als Endstufe montiert.

モーター は床に近い所に設置、その上を材料置き場として利用する。

ベルトに衣類などが引き込まれる恐れがあるので、安全覆いを取り付けている。

モーターは以前 木工旋盤から外したもの。1/2馬力。


Elektromotor wurde tiefer an der Gestell montiert,

damit daoben als Materiallager benutzt werden kann.
Der Elektromotor stammt aus alte Machine, 1/2PS.

左上に黒いスプロケット(チェーン用歯車)

強度不足と力不足を補うために最終段をチェーン駆動とした。

Vベルトの緊張装置(テンショナー)も自作。スプリングはオルガン吹子用の二股ばね。

Vベルトは購入。

小さなスプロケットが2個見えている。 歯数が異なるスプロケットを購入して速度を試す

ために3個購入。 結局、最も歯数の少ない(速度を最も落とす)スプロケットを使用する

こととなった。 工業製品は何と安価に供給してくれるのであろう、気楽にこういうことが可

能である(また捨てられない物が増えるが)。

Für Keilriemenspannung, wurde Balgfeder verwendet, Orgelbauer Idee.

減速装置

手前にもう一段あるが、これは最終段、とそのひとつ前。

最終段は30mmの軸で引っ張りチェーンスプロケットと繋がる。


引張りチェーンは ベルトコンベヤー用 倍ピッチチェーン。

チェーンとスプロケットは工業製品を購入。


Ansicht an der Antrieb und Zugkette.

Zugkette hat Doppelabstand, damit der Haken gut eingerastet werden kann.

強度不足が判明して、一旦組んだスプロケットなどを外すはめになった。

画像はギヤプラーでスプロケットを軸から引き抜いているところ。


Nach der Probe, Verstärkung war notwendig an viele Stellen.

Hier, Kettentrieb wird aus der Achse ausgezogen, zur Verbesserung.

終段側減速装置 全貌

最後のスプロケットは 60歯、その手前は12歯。 1/5に減速、5倍に増力。

当初、Vベルトで駆動する計画であった。速度が速すぎ、ベルトが滑るので、ここにチェーン

駆動を追加して解決した。

スプロケットとチェーンは買った。


Endstufe des Antriebs.

Große Kettentrieb hat 60 Zähne, die Kleine hat 12 Zähne.

刃上下機構の雌ネジ

「須藤さんなら使い道があるだろう」と拾ってきてくれた方から頂いたネジ(径30mm強、

インチネジ)を使った。

ピッチがインチ系なので、一回転がメートル法の切りの良い値にはならない。

ナットを鉄板に鑞付け。画像は鑞付け直後の赤熱した状態。

鉄板は拾い物を整形。

Mutter zum Hauptgewinde wurde hartgelötet.

Gewinde und Mutter sind auch aus dem Schrottkiste.

下の淡緑色は刃物受け。

上の2本の雄ネジが上記のナットに入る。

コイルスプリングは結局不要であった。 コイルスプリングは買った。


Messerfassung mit Gewinde.

Spiralfeder war nicht zu verwenden. Nach der Probe totgestellt.
ローラーの片側を上下するしかけ。

刃物部分を避けなければならないため、複雑な形となった。

ボールベアリングは購入。


Eine Seite der Walze wurde um die Höhe verstellbar.

Diese Vorrichtung muß das Messer vorbeilaufen.
仮組した状態 Probemontage.
全体仮組 Gesamtansicht

材料を戻す時に刃を一時的に上げる機構(反復して徐々に厚さを薄くして行く場合)は

計画していたが、結果としては使えなかった。

試験切削 Probehobeln

初めてこのような鉋屑を見た。従来40mm幅ほどの鉋で苦労して削っていた。

一気に450mmほどの幅を削れるとは夢のようである。

試験削りを終えた材料 Das Ergebnis.
この程度の仕上がり Das Ergebnis in Detail.

多少の波紋が残るが、許される範囲であろう。

Rohlf氏からの助言では、「パイプに作った状態では気にならないであろう」とのこと。
片方削りをしているのが見える。 不均等厚に削ることもできる。

Asymmetrische Hobelgang.

左は石鹸水入れ。銅製。 元 謀オルガンの銅製パイプ。

Seifenwasserbehälter aus alte Kupferpfeifen. Hardgelötet, gescmiedet.
合間にメタリシートを整理・収納するための 棚も準備。

Metallplattenlager.
強度不足

スプロケットを軸に固定して滑りを起こさないようにする キーが破断した。

軟鉄を使ったのが悪かったのであろう。鋼で作りなおした。

想像を超える力を必要とする。


Verbindungsschlußel zw. Achse u. Trieb, sind abgebrochen.

Danach, wurde die Schlußeln aus Stahl wieder hergestellt, und nun

sie sind einwandfrei.
巻き込み防止安全覆い。


Sicherheitshaube aus Holz.
刃の出し入れ量の目盛り板。

”0”点を移動できる。


Haupt Skala, an der Hauptgewinde. Auf Null-Stellung einstellbar.

Beide Gewinde werden mit der Kette und Kettentrieb verbunden.


Die Kette wird mit Mitläufertrieb gespannt, welche auf excentrische Achse

montiert wurde.
ローラーの片側は上下可能。

平行に削るように設定したり、片方を薄く設定したりが可能。

これはその目盛。この円盤は古いフライパンの底。黒はテフロン。


Hilfsskala um eine Seite der Walze höher od. tiefer einzustellen.

Dadurch Einstellung der Parallelität sehr einfach.

Asymmetrische Ergebniss ist auch einfach zu gewinnen.

Die Skalascheibe ist aus alte Kochpfanne. Schwarze Farbe ist von Teflon

Überzug des Kochpfannes.
タオルかけ。

研削には石鹸水を使うので、タオルは必須。


Seifenwasser als gleitmittel wird verwendet.

Handtuchhänger, Handtuch ist notwendig.
ブリキ挟み 掛け

必ず使うので・・・ 使用する付近に


Blechschere ist Sollwerkzeug.

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25.Feb.2012